日本は、年間の不妊治療実施件数が世界一の国ですが、その一方で不妊治療の妊娠率は60か国中最下位という現実があります。
治療の種類にもよりますが、不妊治療の妊娠率は決して高いとはいえません。
ただ、受精し着床するかどうかは精子と卵子の質に影響されるため、妊娠率は個人の体質によって異なりますし、努力次第で妊娠率を高めることもできます。
夫婦で悩み、考えた末に決断した不妊治療。
最善の結果を望むのなら、病院任せにしてはいけません。
この記事では、
- 不妊治療の妊娠率を高めるためにすべきこと
- 不妊治療の妊娠率
- 不妊治療の妊娠率を左右する要因
について、解説していきます。
不妊治療の妊娠率を高めるためにすべきこと

これから紹介するのは、妊娠しやすい体質をつくるための方法なので、自然妊娠を目指している方にも効果的です。
具体的には、 以下を目的に実践していきます。
- 子宮や卵巣の血流を促す
- 骨盤の歪みを解消する
- ホルモンバランスを整える
女性の卵巣では、卵子の元となる原子卵胞300個が約3か月かけて発育し、毎月厳選された一つの卵子が排卵されます。
つまり、妊娠を目的とした体質改善には最低3か月はかかると思ってください。
一朝一夕に変化が得られるわけではありませんが、地道な継続こそが一番の近道なのです。
実践① 毎朝、白湯を飲む
女性にとって、冷えは大敵です。
特に妊娠を望んでいるならば、冷えは絶対に解消しなければなりません。
冷え対策として、一番手っ取り早い方法が「白湯飲み」です。
起床後、沸騰させてから50度程度に冷ましたお湯をコップ1杯飲みましょう。
代謝を促進し、老廃物を排出し、体を温める効果があるため、妊活中はもちろん、妊娠中、産後にもおすすめです。
実践② 糖質を控える
糖質は、卵子の老化を引き起こす一つの要因です。
糖質を過剰に摂取すると、体内でその余剰分がたんぱく質と結合し(糖化)、細胞を変性、劣化させます。
お菓子やジュースはもちろん、ご飯、パン、麺類にもたっぷりと糖質が含まれているので気を付けたいところです。
まずは間食する習慣を止め、慣れてきたらご飯の量を半分にしたり、夕食は炭水化物を摂らないようにするなど、徐々に減らしていきましょう。
ちなみに、地中海料理を食べると体外受精、顕微授精の妊娠率が40%上がるという研究結果があります。

地中海料理の主食は精製されていないお米やパン、つまり白米ではなく玄米、白いパンではなく全粒粉のパンです。
無精製食品は、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、精製食品と比べて食後の血糖値を抑えてくれます。
地中海料理というよりも、これらの食材が健康な体をつくるベースとなっているのです。
実践③ セルフマッサージ
子宮や卵巣の血の巡りをよくするためには、全身の血液、リンパ液、組織液の循環を促す必要があります。
ここでは、ツボと経絡(けいらく)を刺激して妊娠率をアップさせる方法をお伝えします。

経絡って何ですか?

ツボとツボをつなぐ経路のことです。
ツボはエネルギーが集まるスポット、経絡はエネルギーの通り道、とイメージしてください。
《脚の経絡マッサージ》
脚の経絡は全身の循環を促し、女性ホルモンを整える作用があります。

- 膝を立てる
- お尻から小指にかけて、脚の外側のラインに沿って軽く圧をかけながら撫でる
- 3分間行う

- 今度は、親指から股にかけて、脚の内側のラインに沿って撫でる
- 3分間行う
《ツボ押し》
三陰交(さんいんこう)というツボは、「女性のツボ」とも呼ばれるほど、婦人科系の症状と深い関連があります。
鍼灸でも、不妊症や妊娠中、産後のケアとして三陰交にアプローチしますが、自分で触れやすい部分なのでセルフケアも可能です。


- 内くるぶしの中央から4横指分上の部分(三陰交)を見つける
- 左右の母指を重ねて、呼吸をしながら、吐く息に合わせて3秒間押圧する
- 10回行ったら、反対側も同様にする
実践④ 骨盤を整える

妊娠率を高めるためには、骨盤のケアも欠かせません。
というのも、解剖学的に子宮や卵巣は骨盤の中にすっぽりとおさまっているため、骨盤に歪みやズレがあると生殖器系の血流が停滞する要因になるからです。
また、不妊治療の目的は妊娠することですが、それがゴールではありません。
妊娠が成立した後は、約10か月間に渡ってお腹の赤ちゃんは成長していきます。
そのときに骨盤の可動性が低下していると、赤ちゃんは窮屈な環境を強いられ、スムーズに発育することになってしまうのです。
ヨガやピラティスでケアしたり、骨盤の歪みを調整してくれる整体院に行くのも良いでしょう。
実践⑤ 赤ちゃんと触れ合う

不妊治療を成功させたい、妊娠率を高めたいと思っているのなら、赤ちゃんと触れ合う機会を意識的につくるようにしてください。
友達の子どもを抱っこする、赤ちゃんと関わるボランティアをする、どんな形でも良いです。
赤ちゃんを身近に感じる経験は、「可愛い」「愛おしい」という感情だけではなく、「自分に子どもがいたらこんな感じのかな」「子どもが健康に育つには何ができるだろう」という具体的なイメージを沸き起こします。
大切なのは、「なんで妊娠しないんだろう」というネガティブな思考ではなく、子どもがいるという前提でイメージできるということです。
体内記憶で有名な産婦人科の池川明先生も、
赤ちゃんが欲しい人がいたら、生後3ヶ月の赤ちゃんを30分抱っこすることを伝えてあげてください。3ヶ月後に妊娠しますよ。不妊治療はとても辛い。それよりも赤ちゃんを抱いて感じることの方が赤ちゃんが来やすくなる。
https://www.happy-babyrose.com/ikegawa
と言っています。
私の周りでも、不妊で悩んでいた期間に保育所でボランティアをしていたら、その後妊娠したという方がいます。
もちろん、それが妊娠に至る決定的な要因であったかどうか、真実を知る術はありません。
ただ、妊娠率を上げるためにはマインドも変える必要があるのは確かです。
個人的にこの方法はとてもおすすめなので、是非実践してみてください。
不妊治療の妊娠率は高くない

日本では、晩婚化に伴う高齢出産の増加により、不妊治療の実施件数は年々数万件単位で増えています。
2014年の時点で、全出生児数の4.7%が生殖補助医療によって誕生。
つまり、21人に1人が何らかの生殖補助医療で出生している計算になります。
気になるのが、不妊治療の妊娠率です。
体外受精や顕微授精では、一回につき数十万の自己負担を強いられるため、経済面も考慮すると出来るだけ少ない回数で妊娠するのが理想ですよね。
2014年の生殖補助医療の出産率は以下の通りです。
年齢 | 出産率 |
30歳 | 20.6% |
35歳 | 18.1% |
40歳 | 8.8% |
42歳 | 4.4% |
45歳 | 0.8% |
50歳 | 0.9% |
参考:『本当は怖い不妊治療』/草薙厚子(著)
この数字が高いのか低いのか、その判断は個人に委ねますが、30歳であれば5組のうち1組が、40歳だとおよそ11組に1組が出産に至る計算になります。
ちなみに世界と比較すると、日本は1回採卵あたりの出産率が60か国中最下位。
実は、「不妊治療が盛んに行われているにも関わらず、成功率は低い国」なのです。
不妊治療の妊娠率を高めるには体質改善が必須
妊娠率を左右する要因
ただし、上記のデータは全員の平均値にすぎません。
1度の不妊治療で出産する人もいれば、10回以上行っても妊娠に至らない人もいます。
では、その違いはどこにあるのでしょうか。
一つは年齢です。
先ほどのデータを見ても一目瞭然ですね。
加齢によって卵子の老化が進むため、年齢とともに妊娠率は下がり、流産率は上がります。
残念ながら、これに関してはどうしようもありません。
もう一つ重要なのが、体質です。
年齢には逆らえませんが、体質は努力次第でいくらでも変えることができます。
体質を変えずに不妊治療をしても意味がない
自然妊娠が難しく不妊治療を検討している方の中には、何の準備もせずにトライしようとする人がいます。
ここでいう準備とは、情報収集や経済的なことではなく(もちろんそれも大事ですが)、自分の身体を整える準備です。
結論から言うと、体質改善をせずに不妊治療をしても妊娠は期待できません。
体外受精や顕微授精では、受精卵を培養した後に子宮内に戻しますが、そこで着床できるかどうかは子宮の環境次第です。
血流が良く、十分な厚みの子宮内膜であれば、受精卵はそこに根を張って発育することができるでしょう。
反対に子宮の環境が悪ければ、受精卵を移植したとしても着床することはできません。
つまり、不妊治療で介入できるのは、卵子と精子を結合させる過程までであって、そこから子宮内で育つかどうかは女性側の体質にかかっているのです。
そもそも不妊治療は、何らかの理由によって自然妊娠に至らなかった人が受けるものですが、その理由の多くが、根本的な体質に起因します。
厳しい言い方になりますが、元々妊娠しにくい体質の人が「不妊治療をしたら妊娠するかも」と安易に考えてはいけません。
少しでも妊娠率を上げるために、しっかりと準備をしてから臨みましょう。
不妊治療の妊娠率を高めるには地道な努力が必要
不妊治療の妊娠率を高めるためには、体はもちろん、心も変える必要があります。
「子どもを授かるんだ」という希望を持って、それを現実にするために出来ることを実践しましょう。
焦らず、気負わず、毎日コツコツと継続すれば、必ず良い方向に向かうはずです。

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